「ここかな、それともこっちかな」

身を切る砂漠の冷たさにしゃがみこんで凍える私の隣で、うーちゃんは、鼻歌を歌いながら砂時計の周りをあちこち探索している。

「ねー、アリスもなんか探してよ」

うーちゃんが頬をぷー、と膨らませる。

その毛皮が羨ましい。

「いいもん、一人で探すもん」

再び鼻歌、ご機嫌な兎。


さすがに一人だけ探させるのもかわいそうだ、とようやく立ち上がる。

ふと、長い砂漠の果てに小さな黒い影を発見。

風の動きにあわせてゆれる。

もしかしてオアシスとかかも。

砂漠にある木で私に思い浮かぶのはオアシスくらい。

目の前には楽しそうに辺りを見渡すうーちゃん。

……ちょっとくらい、いいよね。

前々から一回は見てみたいと思ってたんですよ、と忍び足。

バレてない、バレてない。