商店街のはじっこにある、小さなピザ屋で夕食を食べることにした。



「あかね、何食べたい?」
「ベーコンチーズ!!」

「げ、これ高いじゃん」

「いいでしょ?」


意地悪そうな目で智を見上げた。


「はいはい…」


観念したか、このやろう。


――――――――



「おまたせしました―。ベーコンチーズピザとシーフードピザです。」


「うまそー♪てか私、シーフード頼んでないし」

「俺が頼んだ。」



なるほど。



「いっただきまーす!!」
「お前声でかっ」



…もとからですよ。



「うまっ!!!ちょーうまいし!!」

「そりゃよかったね―」




とか言いながら
いつの間にか完食。



「ごち!!!さ、帰るか!!」
「おうよ。」



会計をすまし、店を出た。



外はもう真っ暗。


「あかね、はぐれるといけねーから。ん、手掴め」


「私そこまでお子ちゃまじゃないし」


なぜか「握りたいな―」なんて思っちゃってる。



「んじゃいいや。」


そう言った智の声が、寂しそうに聞こえた。



「やっ、やっぱ握るっっ!!!!」



は?
私、何言っちゃってんの?

「んじゃ、握れ。」
「うん…」




自分でもあのとき、どうしてあんな事言ったのか
よくわからないままだ。