観覧者を乗り終えると、もう夕方になっていた。

「もう夕方になっちゃったね」

「そうだな、そろそろ帰るか」


2人は遊園地を出て駅に向かって歩き出した。

「そういえば、2人とも今頃どうしてるかな?」

そう理沙が言うと、圭はそうだなと言って自分の携帯を取り出した。

すると圭は素早く

『俺たち帰るから。もっと楽しんでけよ!』

と打って送信すると、携帯を閉じた。



駅に着いて電車に乗ると、2人はたわいもない話しをしていた。

「そういえばさ、新しく映画館できたの知ってるか?」

「うん!せっかくだからCMでやってるあの新作見に行きたいんだ」

すると圭はその理沙の言葉にすぐに反応した。

「あ、それ俺も気になってたんだ。面白そうだよな」



その時、それを聞いた理沙は圭にもっと近づきたいと思っていた。

「あのね、どうせなら一緒に映画見にいかない?」

理沙はそう言っている自分に驚いていた。

その言葉に圭は

「じゃあ、一緒に行くか」

嬉しそうに答えた。

「うん!」

理沙も嬉しさで自然と笑顔になっていた。



そんな会話をしていると、いつの間にか電車は駅に到着していた。

「ほんとに送ってかなくて平気か?」

圭は首をかしげて言った。

「うん、結構近いから平気だよ」

「そっか、じゃあまたな。映画の件はメールするよ」

圭はそう言って軽く手を振ると、走って帰っていった。

「ばいばい……」

理沙は手を振りながら、初めて感じる気持ちを抑えられずにいた。