「ぼーっとしすぎ。俺の言ってたこと聞いてないだろ。」
え…なんか話してた…?
「えっと……。うん。」
中森は、はぁ……と長いため息をつきながらぶつぶつ呟いてた。
「もう一回だけだからな。」
そういって、あたしの顔をみた。
「俺は、真莉乃の家で執事として働くことになった。それはすげー嬉しく思ってる。だけど、一緒にいすぎると辛くなるときもあると思うんだ。」
中森がやけに真剣な話をしている。
「だけど、俺は真莉乃を離す気はさらさらないから。こんな俺の思いが真莉乃をつらくさせることもあるかもしれないけど、俺を信じて欲しい。」
そ、そんなの……。
「当たり前だよ。」
いつの間にかたまった涙を零さないように目を開きながら中森を見た。
中森は一瞬驚いた顔をしてたけど、優しい笑顔に変わった。
その笑顔はなんとなくお母さんに似ていた。