顔を上にあげると見慣れた顔がそこにあった。








「健伍………」







とっさにあたしの頭の中ではさっきの健伍の部屋での光景が映し出されて恥ずかしくなった。
そんな真っ赤な顔を見られたくなくて、下を向いた。







「そんな顔すんなって。」







健伍はとても人にやさしい部分をもってるかた、今までに結構告白されていた。
健伍はそれを知らないと思ってるけど、実は知ってる。直接で告白された回数。メールで告白された回数。手紙で告白された回数……






果てしなく多い。





彼女じゃないけど、ちょっと妬けた。
だって、健伍はずっとあたしの執事だから、あたしだけだと思ってた。
だから、健伍に彼女ができた時は部屋に閉じこもってなぜか泣いたっけ。
そんな健伍があたしのことを………






「お前、なんなんだよ。しゅんとしたり、怒ったり、眉間にしわよせたり。ぼっと赤くなったり…わけわかんねぇ~。」






呆れたように言いながら。あたしの部屋まで運ぶと、







「じゃぁな。」






コツコツと早足で去って行ってしまった。
なんなんだろう…健伍のことであんなに悩んだのに…。わけわかんねぇ~で済まされて挙句の果てに大好きですなんて言いながら軽くじゃぁなって…






わけわかんないのはこっちだよ!!!
くそったれ!!!!!