「リオー!!」

教室の出入口付近から呼ばれた声に、久保谷(くぼたに)リオは振り返った。

声の主の方を見ると、男子が4人女子が3人こっちを見ていた。

リオに声を掛けてきたのはその3人のうちの1人、由佳(ゆか)だ。

「今から吉村たちと遊び行くんだけど、リオも行かない?」

今日は水曜日だ。

「ごめん今日は…」
「あ、そっか!今日は水曜日だったね」

うん、ごめん…と申し訳なさそうにリオは言うと、まとめた荷物を持ち、由佳たちに手を振り帰った。

「残念だったな亮(あきら)。久保谷に嫌われてるんじゃねーの?」
「うるせー黙っとけ!!」

リオが帰ったのを見ると、由佳たちと一緒に居た男子らが騒ぎ始めた。

「吉村が悪いわけじゃないよ」

由佳の隣に居た希美(のぞみ)が喋った。
すると、一緒に居た晴奈(はるな)も続けて喋りだした。

「リオって、いつも水曜日は予定が入ってるんだ。一体何やってるんだろ…」


もう学校を出て行っただろう。
リオが帰って行った廊下の方を、皆は見つめた。