何時間もかけて磨きあげられ、ドレスアップした自分の姿を、同情した目で見つめていた
「お前を選んで正解だったな…。なあ東海林!」
「そうでしたね!」
何がだ!ただ若いメイドがいないからだろ!
「お前の仕事を任命する」
「はあ…」
「今日からお前が俺の秘書兼婚約者だ!」
は、は、
「はぁ!?」
こ、こ、婚約者!?
私、メイドですけど?
一般人ですけど?
そもそも身寄りも無いですけど?
「何だ、お前。はあしか言えないのか?」
「だ、だって坊っちゃん!私は…」
「おい、お前、俺より年下のクセに『坊っちゃん』なんて呼んでるんじゃねー」
「じゃ、じゃあ何とお呼びすれば?」
「ご、『ご主人様』だろ!」
はあ?
「じゃあ、ご主人様。婚約者ってどういう事ですか!?」
ご主人様は私の反応がお気に召したのか、満足した表情でうなずく
「まあ、落ち着いて聞けよ!がっかりさせたら申し訳ないが……仮だよ、仮」
「仮?」
「そう、仮」
はあ?
い、意味わかんない!!
仮の婚約者って何なの!!