「これがキング、クィーン…ナイト」


坊っちゃんの説明に黙って頷く


見たことの無いクリスタルのチェス


透明と白の硝子の盤に、光輝く駒…


「キレイ…」


思わず微笑むと、坊っちゃんが優しい顔で笑う


「この勝負に勝てたら、プレゼントしてあげるよ、ハニー」


なんて言いながら、頬にチュッとキス


「勝てよ」


周りがキャーっと騒ぐ中、私は坊っちゃんが残した言葉に、ただ赤面することなく坊っちゃんを見つめた


席についてチェスを挟む


「レディファーストだ。お先にどうぞ」


梶屋敷のいやらしい笑いを、私は見ながら頷く


大きく深呼吸しながら、私はクリスタルに触った












「貴女はご出身はどちらですか?」


「ご想像にお任せいたします。下町でも、山でも。」


「は、何とも気の強い女性だ」


坊っちゃんもよく下らない話をしてくる


黙って私はチェス盤を見つめていた


考えるんだ、次の手を


そしてその次の手まで…


「貴女はどちらで冬馬さんとはお知り合いに?」