「私は、お屋敷を出なければならなくなるでしょう…」

何かで爆笑してる坊っちゃんを遠くに感じながら見つめた

「小桃さん…」

「はい?」

「冬馬様はそんなことはなさいませんよ。あなたは冬馬様が見込んだ方なのですから、あの方がそうさせません」

「でも…私には出来ません」

「冬馬様があなたを『頭がいい』と誉めていました。あなたなら出来ると信じているんです」

「そんな、まさか…」

「実際、痴漢のような事をされ、逆らった女性が逆に身分を奪われたり、酷い嫌がらせをされたりする例があるんです。やった相手の身分が高いだけで…」

「え?」

「冬馬様は、あなたの身を案じているんです…」

「そんな…」

私はまた坊っちゃんを見た

「でも、どうしていいかわからないんです…。声をかけられて軽くかわすなんて…したこともないし…」

「じゃあ、出来る人から習えばいいんですよ」

「そ、そんなこと出来る人なんていますか?」

「そうですね、そういう人は大抵外見も良く異性からよく声をかけられる人気者」

私はその言葉に目を見開いた