「あーー!!桜子待ってよ!」


「私のメロンパン返して~」



サッキーはともかく、大人しい印象だった雪乃ちゃんまでもがメロンパンを追いかける。


「桜子ぉ~~速いって!!」


「桜子のばか~」


この3人は見ていて楽しい。

いつも笑っていて、いつも走っていて、青春してるって感じる。



「あ!!セブン発見!!」


サッキーの大声に、僕までもがドキっとした。


セブンっていうのは3人の間での涼太の呼び名。



きょろきょろと見回すが、どこにも涼太の姿はない。

サッキーの作戦だな。



僕は立ち止まった桜子の頭の上から涼太を探す。



「まじ?どこどこ?」



顔を真っ赤にする桜子。



動揺する桜子の制服の中に手を入れて、サッキーはメロンパンを奪う。



「うわ!!サッキーのうそつき!!だましたの?」


「ごめ~ん!!」



がっくり肩を落とす桜子を慰めるように近づいた雪乃ちゃんも、メロンパンを奪取した。