好きです。
あなたが。
体中が叫んでいた。
私、恋をしました。
グラウンドの真ん中にいる彼が、私に向かって手を上げた。
そして、ベンチに置いていた彼のジャージを手に持ち、グラウンドから消えていく。
「どうしよう」
私は、今の出来事を忘れないように、頭の中で30回ほど思い出した。
記憶っていうのは、繰り返し思い出すことで忘れにくくなると聞いたことがある。
「どうしよう」
私は、高鳴る鼓動を感じながら、自転車に乗って、家の周りをぐるぐると回った。
あんなにかっこいい人が同じ高校の同じ学年にいるなんて……
私、樋渡桜子。
この虹色学園で、最高の恋をすることを誓います。
-桜子の記憶-