僕は妖精だ。 妖精の年齢ではまだ子供で、まだ恋なんてしたことがない。 でも、恋する人の気持ちはわかる。 この1年、恋をしている生徒をたくさん見てきたから。 だからね、わかってしまった。 この少女が恋をしていること。 恋をしていると涙が出てしまうこと。 彼女が見つめている先にいるのは、恋する相手。 彼女の持ち物を探ってみよう。 まだ真新しいノートに書かれた名前。 樋渡桜子。 『ひわたしさくらこ』と読むらしい。