「冗談やない!」


 言葉に出たところで、状況は変わらない。


 海人は、身体を反転さて、皐月の所に向かう。


 しかし、どう考えてもギアの方が早い。


 菫ギアのバーニアが点火され、上空に上がる。


「海人!!」


 菫の声がギアから響くが・・・。


「ええから、早く逃げろや!!」


 ギアの中に乗っている人間に対して、肉声が聞き取れるとは思えなかったが、自分の口の動きと表情から読み取ったのか、菫はギアを反転させて、バーニアを発火させる。


 しかし、どう考えても、菫の機体は白い機体に比べると機能は下。


 まともにやって逃げられるとは思えない。


 ならば、白い機体が自分に注目してくれるしかない・・・。


「まったく・・・。」


 海人は胸ポケットから、リボルバーを取り出すと安全装置を外して、即座に4発発砲する。


 狙いはすべて、すべてギアの目に当たる部分。


 メインモニターをつぶす算段だ。


 3発命中。


 しかし・・・それぐらいでは、ヒビの1つも入らない。


 別にかまわない。


 自分にさえ注目さえしてくれればそれでいいのだ。


 ギア相手にそこまで逃れきれるとは思えないが、何とか菫の逃げる時間さえ稼ぐことが出来れば・・・。