「くっ!!」


 海人の口からタバコが落ちる。


 苦しい声と同時に爆発音が海人の耳に木霊した。


 皐月の右腕と、白い機体のコックピットが同時に爆発したのだ。


 衝撃で真逆に吹き飛ぶ、黄土と白のギア。


 このまま地面に落ちると、その衝撃で皐月が爆発する!


 体勢が・・・戻れない!!


「しまっ・・・。」


 た・・・を言う暇はなかった。


「!!」


 新たな衝撃。


 何者かに引っ張られる感覚が海人を襲う。


 皐月が、菫のギアによって左腕をつかまれたことを理解するのには、そんなに時間はかからなかった。


「海人!大丈夫!?」


 通信機越しに聞こえる菫の声。


 二体のギアが先ほどの距離から50メートルは後退して立ち止まる。


「ああ・・・すまんな・・・。」


「別にいいわよ」


 菫のギアに支えられて、何とか立ち上がる皐月。


 網の目が走るモニターから、海人は倒れた白い機体を見る。


 コックピットから上がる黒い煙。


 ピンポイントで狙ったのだから仕方ないとはいえ、あれだけやられても、それ以外を破壊されていないところから、あの機体がどれだけの装甲を持っているのか示している。