途端、海人の耳に響くマシンガンの発砲音。


 反射神経だけで、皐月を右に反らす。


 紙一重でマシンガンが皐月の横を通過する。


 警告もなしに、民間機に発砲するとは・・・。


「野党か?」


 その可能性が、一番高いだろう。


 だとしたら、遠慮はいらない。


 海人は、先ほど構えたマシンガンを、未確認ギアに向かって発砲する。


 手ごたえはなく、空高く巻き起こる砂塵。


 視界が砂に埋め込まれ、その中に現れたのは・・・・・・・・・・・・。


「冗談でしょ?」


 菫の悲痛の声。


 そんな声が漏れるのも当然だろう。


 まだ煙が上がる皐月のマシンガンの銃口の先に立ち構える影・・・・・・。


 ・・・・・・・・昨日、パイロットを失ったはずの白い機体だった。