「冗談やない・・・。」


 思わず、言葉に出た。


「ねぇ、どうする?」


 菫の不安そうな声。


 こっちまで不安にかられる・・・。


「さあな・・・。」


 海人が、そこまで口にしたところで。


「!」


 それは、ホンの偶然だった。


 数多くのギアの残骸に動く影を見つけたのだ。


「菫は、ちょっとここで待ってろや。」


 皐月のエンジンを切って、海人はそこから降りる。


「え?・・・ちょっと、海人?」


 皐月を乗り捨て、向かったのは、数多く並んでいるギアの残骸の中でも一番右にあったギア。


 他のギアに比べると、確かに損傷も少なく、その代わり、もう一体のギアの下敷きになっている。


 おそらく、敵に直接撃たれたのではなく、撃墜した味方に巻き込まれる形で墜とされたのだろう・・・。


 それが、運良くパイロットを生かすコトになったのだ。


 どの道、瀕死であることには変わりないが、この状況では、それすら奇跡と言える。


 いや・・・逆に生き残ってしまっただけ運が悪いと言えるのか・・・。