次の日。


 海人は、朝早く皐月を使って家を飛び出ると、真っ先にキラが入院している病院へと向かった。


 エリアスに会うためである・・・・。


「病院の外にギア・ドールを止めるとは、また派手に駐車違反をするものだな・・・。」


 病院の待合室。


 窓の外を眺めながらエリアスは、大きくため息をついた。


 病院の入り口には堂々と皐月の足が置いてあり、来るものを阻んでいる。


「あまり、世間のルールを知らんものでな・・・。」


 もちろん嘘ではあるのだが、実際、この時間帯に病院の前にギアをおいたところで、そこまで困らないであろうと判断しての言葉。


「はぁ~。」


 エリアスは大きくため息をつくと


「・・・それで、何のようだ?キラに会いたいならば、直接病室に行けば良いだろう?」


 別に、キラに用があるわけではない。


 どうしてもエリアス相手に確かめたいことがあるのだ。


「用があるのは、キラやなくてお前や・・・。」


「私は、年下に興味はないんだがな・・・・。」


 エリアスの軽い冗談。


 相手にする必要はない。


 海人は、ポケットからタバコを取り出し、火をつける。


 無風の病室の中で、ゆっくりと紫煙が真上に伸びていった。


 海人は、それを眺めながらゆっくりと口を開く。