「・・・もしかして、ジン爺さんか?」


 朝の出来事を思い出す。


 彼女はギア・ドールの幽霊に乗っていた。


 そして、それを探していたジン爺さん。


 自分でも浅はかだと思うが、そう考えるのが妥当だろう。


「う~ん、正確には違うけど、半分正解・・・と、言ったところかな?」


 半分?


「どういうことや?」


「見張られてるよ・・・彼女・・・。相手はたぶん軍の人間。」


「さいか・・・。」


 別段、驚くようなことではなかった。


 謎の白い機体のコックピットに乗っていた彼女。


 記憶こそ失われていて、詳しいことは判らないが、彼女にもなんだかの秘密が隠されていることは容易に想像がつく。


 軍の監視ぐらいついていて当然だろう。


「でも、それで何で半分正解になるの?」


 菫が棚からウィスキーを取り出しながら訪ねる。


 菫、さりげなく高い酒を出すな。


「まぁ、ジン爺さんも素性こそ隠しているけど、実際は虎神軍の諜報部だからね・・・・・。そんなことより、どうするの?キラを家に招いたら、自然と俺たちも軍の目にさらされるわけなんだけど・・・。」


「えぇ!ジン爺さんって軍の人間だったの?」


 大声を上げる菫。


「菫・・・うるさい・・・・。」


 アルクが顔全体でイラついた表情を見せる


 いや・・・その話、俺も初耳なのだが・・・。