その日の夜。


「ライルスト=キラ。20歳。血液型A、2年前にアトランテ軍に入隊、階級は二等兵・・・。」


 自分の家に戻った海人は、アルクに調べてもらったキラのデータを読み上げる。


「さすが、俺。仕事が速いだろう?」


 自分で言うか?


「顔と名前が分かれば、そこまで難しくない仕事やないか?・・・やろうと思えば、俺でもできるわ。」


 タバコをふかしながら、思わずもれる。


 この世界で、名前と顔が分かれば、身元が分からない人間はいない。


 それこそ、自分を除いては・・・


「アトランテの人間?・・・彼女、虎神の軍服を着ていたわよ。しかも、男物・・・。」


 二人の会話に入るように、菫が口を挟む。


 別に、彼女が自分たちの家に来ることは珍しくない。


 なんだかんだ言いつつ、アルクと少しでも傍にいたいのだろう。


 まったく・・・・・・・・・・。