「・・・でも、あなたが私を助けてくれたコトには間違いがないんでしょ?」


「?・・・・ああ。」


 自分の打算的な考えからの行動とはいえ、それは間違いない。


「なら・・・その点については、お礼を言わせてよ。ありがとう。海人。」


 キラは、そのときになって、ようやく満面の笑みを浮かべ、自分の方を向いてくれる。


 素直に、綺麗な笑みだと思った・・・。


「どういたしまして。キラさん。」


 それに対して、海人も精一杯の笑顔で返す。


 いつの間にか、彼女の中のミルクティーは空になっていた。


「でもさ、すごい偶然だよね?お互いに二年前からの記憶がないなんてさ・・・。」


「あんたは、二年前からとちゃうやろう?」


 エリアスの話だと、先日からのような気がしたが・・・。


「似たようなものでしょう?」


「そうかぁ?」


「そうだよ・・・だから、海人はもしかしたら、鈴蘭である可能性もまったくないわけではないんだよ!」


 熱弁するキラを見ていて、思わず吹き出そうになった。


「そんなことあるか?」


「希望ぐらい持たせてよ。海人は夢がないなぁ~。」


 今、さっきであった人間にそこまで言うか?


「ドラマみたいなことなんてない・・・って言うたのはキラの方やろう?」


 いつの間にか呼び捨て。


「それでも、夢見るのが美しい乙女たる秘訣なのです。」


「あのなぁ・・・・・」


 その後、なぜか二人は会話が盛り上がり、小一時間ほど談笑して海人は病室を後にした。