「冗談?」


 心から出た言葉。


「医者の言うことが信じられないか?」


「少なくとも、お前の言葉はな・・・。」


「・・・だったら、後で自分で確かめればいいだろう?」


 紫煙と主に呆れたため息をつくエリアス。


「・・・せやな。」


 紫煙と共に吐き出す。


 それもそうだ。


 いくら、本人のいないところでエリアスと口論したところで、何の意味もない・・・。


「やけに美人な女性じゃないか?一目惚れか?」


 馬鹿馬鹿しい。


「そうでなければ、連れて来たりせん。」


 本当の理由は、そんな理由よりも馬鹿げている。


 記憶を失う前の自分を知っているかもしれないなんて・・・。


「珍しいな?」


「そうか?俺かて、男やで?美人に惚れることもある。」


「それもそうだ・・・。だったら彼女の退院後の身元引受人は海人たちの家で登録しておくが、良いか?」


 冗談、仮にも彼女は女性だぞ。


 しかも、エリアスの言うとおり、飛び切り美人の・・・。


「菫は?」


 一応、聞いてみるが。


「あいつが、了承すると思うか?」


 それもそうだ。