「これ以上は、スラムで聞く。」


 相手の怪我の具合はわからないが、どちらにしても早く連れて行くに越したことはないだろう。


「海人!」


 それに納得できないと言わんばかりの菫の声。


「俺の・・・亡くした記憶を知っている女かもしれんのや・・・。」


「!」


 菫の顔が驚愕にゆがんだのが、見なくてもわかった。


「・・・・・・・・・アルクが聞いたら、納得しないよ。」


 そんなこと、分かってる。


「そのときは、そのときや・・・。」


 海人は、女性が乗って窮屈になったコックピットに、何とか座り込むと、ハッチを閉めて、皐月を上昇させた。


 菫もそれに続き、二体のギア・ドールは、この場を後にした。