「・・・女?」


 パイロットシートに腰掛けていたのは、若い女性。


 なぜか男性用の虎神軍の軍服を着ている。


 黒髪の髪は肩まで伸びており、閉じた瞳のまつげはかなり長いことから、目はけっこう大きいことが予想できる。


 高い鼻に、小さな口はかなり美人だということが、気を失っていても分かる。


 しかし、それ以上に気になるのは、彼女は肩から酷い出血をしており、軍服もいたるところが傷ついているところだった。


 ほとんど無傷のギア・ドールとはえらい違い・・・。


「おい、生きているか?」


 コックピットへ身を乗り出し、手を伸ばして女性の頬を軽くたたいてみる。


 死んでいたら死んでいたで別にかまわないのだが、この女性・・・どう見ても自分や菫よりも若い・・・・・。


「うっ、う~ん・・・。」


 しかし、予想と反して女性は軽くうめき声を上げると、軽く震えながら目を開ける。


 そして・・・。


「あ・・・鈴蘭?」


 海人の顔を見や否や、なみだ目で手を伸ばし、自分の頬をなでる若い女性。


 海人の頬が彼女の血で真っ赤に染まった。


「・・・・すずらん?」