2時間前この道を通ったときとは正反対に晴れ晴れとした気持ちで美容院の横を通った。
携帯を開くとたくさんの着信とメール。
時計を見ると8時前だった。
「やっばい」
プルルル…
「美波っ?」
ワンコールで出たお姉ちゃん。
「ちーちゃんごめんね。今帰るよ」
「今どこにいるの?」
場所を説明すると
「分かったわ。今から啓太と一緒に行くから動かないでね」
26歳のお姉ちゃん、ちーちゃんこと知恵ちゃんと
25歳のお兄ちゃん、けーくんこと啓太くん。
2人共立派な社会人だ。
少し経って赤い車が見えた。
ちーちゃんの車だ。
「誰か分からなかったわよ。」
助手席に座るちょっと不機嫌なちーちゃんと
運転席にいるけーくん
後部座席に乗った私は助手席に向かって謝った。
「ちーちゃん、ごめんね。」
「遅くなるなら電話1本…メール1通でも入れなさい!凄く心配したのよっ?」
「知恵、危ねーよ前向いて」
「あんた誰に向かって言ってんのよっ!今は美波が先でしょ?」
「はいはい、」
「はいは1回でいい!美波?遅くなるなら連絡して。健くんは夕方に別れたって言うし。凄く心配したんだからっ!」
健も心配してくれたかな?
なんてことを考える私はまだ前に進めないな。
「ごめんね、ちーちゃん。」
「分かればいいのよ。」
ちーちゃんは優しい口調に戻ってニッコリと笑った。