2年付き合った

だいすきだった彼氏、健と別れた日。

辛くて悲しくて
家に帰る気がしなくて
駅前をふらふら歩いていた。

そしたら
お花を飾られていかにも

オープンしました!

て空気を漂わせている美容院があった。

ガラス張りに映った自分の姿。
健が好きって言ってたからずっと切らずに我慢した長い髪。

自分で髪を触りながら涙をこぼした。

思い浮かぶのは健の笑顔

「…けん……」


急に足に力が入らなくなってぺたんと地面に崩れた。


カラン…と音がしてコツコツと男の人が近づいて来る音がした。

「大丈夫ですか?」

その人はすっとしゃがんで私に声をかけた。

その男の人はとても背が高くてパーマ剤の匂いがした。

ここの美容師なんだ。




「…髪切って……」

「ん?」

「…か、髪切って下さい…っ」

とめどなく流れる涙を拭いながら精一杯言った。

ふわっと柔らかく笑って
「喜んで。」
と言ってくれた。