「12月の誕生石で言いますと、3種類ですね、
ターコイズにタンザナイト、ラピスラズリも綺麗ですよ」

「あ、」

と僕が思わず声に出すと雪乃は振り返って、

「知ってるの?」と尋ねた。

「いや、綺麗だと思って」咄嗟に答えた。

「ふーん、じゃ、それにする!」

雪乃にしてはめずらしく、決断が早い。

「え、もうちょっと考えたら?」僕が言うと、

「私もこれがいいかなって思ったの、迷ったけど、悦司もそう思ったんでしょ?」

僕は黙って頷き、一人で勝手に動揺していた。

こんな不思議な感性の一致にも驚いたけれど、
僕はそれよりも瑠璃子さんの誕生日が気になっていた。