《月》
朝―…。
低くて穏やかな声…
「馬乗りすんぞ。」
そのフレーズで
一気に活性化した頭。
目を開けると、
そこには爽汰。
…えっ!?爽汰??
なんで部屋に!?
ど、どうしよう!!
あたしパジャマだし
寝顔見られたよね?
ああ、もうやだ…。
しかも、
紅茶が準備してあるって
もしかして、
朝早くから起きて
やってくれた?
家事も全部一人で?
…あたし、
いくらなんでも
ダメ女、
極めすぎじゃないすか。
これじゃあ、
女と男、逆すぎる…。
「あたしも
明日から早く起きる。」
今までに、
飲んだことがないくらい
おいしい
ホットアップルティーを
飲みながら、
料理を運ぶ爽汰に
言ってみた。
「お言葉ですが、お嬢様。
睡眠は大切ですよ?
お嬢様の為に、
毎朝仕事をするのは、
執事として、
当たり前のことで
ございます。」