「いえ、ただこれ落ちましたよ」

そう言われ手渡されたのが、入学許可書

「鞄開いてますよ。
気を付けないと、貴重品落としますよ
それと、落とし物拾ってもらったら、お礼くらい言ったほうがいいですよ」

そう言って、俺の横を通りすぎた

「ちょっ、ちょっと待って
お礼が言えなかったかわりに食事でも」

俺は、またニコリと笑ってその女の腕を掴んだ

いままで俺からの食事を断る女子はいなかったから、絶対にこの女も断らないと自信があったが…

「いえ、遠慮いたしますわ」

クスッと嫌味っぽく笑って、俺の手を振りほどいて行ってしまった

それが、俺とその女…

つまり椿との出会いだ