はぁ…授業サボっちゃった。
でもあの時、授業があるからなんて言ったら、逃げ出すみたいで嫌だった。

有城祥子は怒り心頭って感じで帰っていったけど、大丈夫だろうか?

俺って不機嫌になったりすると相手に対して、微笑みながら嫌味を言う癖があったりする。

今日なんか有城祥子が現れた時点でその癖が発揮されてたし。

前に一度、笑いながら怒るのはやめてくれって言われたことがある。
おまえのその微笑みはまるで北極か南極に防寒具を持たずに放り出されたような気分になるんだ。とかなんとか言われた。

ちょっとそれは言いすぎなんじゃないかって思ったりもしたんだけど、まぁそれは今はどうでもよくて。

とにかく有城祥子を怒らせたことはまずかったかなぁ…なんて。
後悔してるわけなんだけど。
今さらどうしようもなくて。


そんな事を考えながら向かったのは食堂。
ちょっとでも早く悠斗に逢いたくて来たのはいいけど、当然まだ授業は終わっていない。
俺はふぅと小さく息を吐き出して椅子に腰を下ろした。

授業が終わるまで、まだ時間があることを腕時計で確認した俺は鞄の中から読みかけの小説を取り出した。