「君から悠斗の手を放したんだろ?俺はそんなバカな事はしないって言ったんだ」

抑揚のない声で淡々と。
さっきと同じように冷笑を浮かべて。

「っ…!そんなことあなたには関係ないでしょ!?とにかく悠斗と別れて!!」

地団駄を踏む勢いで叫び、俺を睨み付ける。

「あれ?俺の言ってる意味わかんない?俺は悠斗を手放すつもりはないよ。どんなことがあってもね」

君は物分りが悪いの?と暗に語った俺。

俺ってかなり意地悪だ。
だってほら、目の前の有城祥子がなんとも言えない複雑な顔をしているのが楽しくて仕方ない。

でもこれは君が招いた結果。
君が悠斗の手を放さなければ、俺は未だに悠斗を想って苦しい日々を過ごしていたかもしれない。

だからこそ自分から悠斗を手放すなんて絶対に無理なんだ。
俺には悠斗だけ。悠斗以外いらない。
誰かの言葉に惑わされたりしない。

俺は俺の信念を貫くだけ。

悠斗が俺と別れたいって言ったとしても、無理矢理にでも引き止めてしまうかも。

愛してるんだ。誰よりも。何よりも。
俺だってここまで人を好きになるなんて思わなかった。
悠斗…悠斗に今すぐ逢いたい。