「率直に言わせて貰います。悠斗と別れてください」

空き教室に入って、扉を閉めた途端に口を開いた彼女を尻目に俺はすぐには返事をせずにゆっくりと小さく息を吐き出した。

本当に率直な物言いをしてくれるよね。
悠斗ってこんなに気の強い子がタイプなんだろうか?


「どうして?」

数十秒の間を置いて俺は口を開いた。
冷笑という名の微笑みを浮かべて。

「…男同士で付き合うなんて不毛なこと、私絶対に認められません。悠斗はきっと私が忘れられなくて、そんな奇行に走ったんだと思うんです。だから私に悠斗を返してくれませんか。悠斗だってあなたから別れを告げられたら、きっと気付いてくれると思います」

彼女は一瞬怯んだように見えたけど、すぐに捲し立てるように喋リ出した。
そして俺から目を逸らそうとはしない。

悠斗が俺と付き合った事は奇行だって?
それを君が決めるの?
悠斗が彼女をまだ忘れられない?
都合のいい解釈っていうか…よっぽど自分に自信があるらしい。