なぜに?というくらいの顔をしてしまった。自分には関係もないと思ったからだ。
「変な顔っ!‥あのねえ、真早紀はそんなんに鈍感だからダメなのよ」
やけにお説教じみている。そして、歩く速度は速くなっていた。

「あ、あたしが鈍感!?」さらに驚く。
「‥だって、古宮くんは早紀のことが好きなのに‥」ちょっとトーンを落とした。
古宮くん。古宮誠くんは、生徒会長で学年首席。聖歌でも“王子”に並んで人気がある。もちろん真早紀は名前のみの他人と意識していた。
「ああ‥、会長ね‐って、あたし!?は!?あたしのこと??ありえねー!!」物凄い勢いでトートをおとす。
と、そこで姫凪にデコピンをされた。彼女がネイルチップを付けているせいか余計に痛い。

「もう!ほら、気付いてないじゃない!…ロッカーに入ってた手紙は誰からだったっけー?」
ろっかー…。
そう虚ろに考え首を傾げてみた。
「あー会長!!あれって皆で行こうってコトでは?」又もや怒っている。悪気はないのだから仕方がない。どうしてもそれ以外では見当がつかないからだ。

ビシッ!

「あイタ――っ!!?」
デコピンヒット。今度は二倍。
「真早紀の馬鹿ーあっ!人の気も知らない何てーぇ」ちょ、ちょっとまっての声も届かず、姫凪は学校の正門へ走っていった。

「…痛いよ‥姫凪」

⊂続く⊃