前章【こんなにも遠く】

AM7:40 いつものように電車に揺られながら学校に行く。
トートの中を探り片手に小説を持つ。恋愛ものが混じったミステリー。
本が好きで、文学の勉強がしたくてこの高校に入学した。
中間まで読み終えると、目的の駅が近くなり学校も遠くに見えてきた。
『県立聖歌高校』
“セイカ”と読み間違える人が多いけれど、本当は“キヨカ”である。
他県からみるとお嬢様・お坊ちゃま学校だと完璧に間違えるくらいの健増築と制服。
西洋風なのは先代理事長の趣味という噂がたっている。
でもホントに極々普通の平凡な県立校。
文学科と体育科が有名で私も含め、それを目的として入学してくる人が耐えない。