◆◆◆
椎名君の家は、
よくあるタイプのアパートの一室だった。
五階建てだけどエレベーターは無く、階段のみの造り。少し不便なんじゃないかな?と思ったけれど、椎名君は二階に住んでいるらしいので「困らない」と言っていた。
そして、
僕は全身に鳥肌が立つという体験を、この日初めて味わう。
「―――」
茫然と立ち尽くす僕を見て、椎名君は深い溜息を一つ吐いた。
「いつもの事やから。てか、失敗やな。なんで俺、家に連れて来てしもたんやろ…」
慣れた手付きで、扉に貼られた幾つもの紙を剥がしながら椎名君は再び溜息を吐く。
『人殺し』
『出て行け』
『社会のゴミ』
『死ね』
『消えろ』
『害虫一家』
『人殺しが住んでいます』
あまりにも酷い誹謗中傷の文字。ねえ、なんで、なんで、なんで…
「……まあ、しゃーないわなあ。兄貴がした事は許されることやないから。そんなん、俺らが一番よお解っとるしな」
なんで、どうして椎名君が、
椎名君の家は、
よくあるタイプのアパートの一室だった。
五階建てだけどエレベーターは無く、階段のみの造り。少し不便なんじゃないかな?と思ったけれど、椎名君は二階に住んでいるらしいので「困らない」と言っていた。
そして、
僕は全身に鳥肌が立つという体験を、この日初めて味わう。
「―――」
茫然と立ち尽くす僕を見て、椎名君は深い溜息を一つ吐いた。
「いつもの事やから。てか、失敗やな。なんで俺、家に連れて来てしもたんやろ…」
慣れた手付きで、扉に貼られた幾つもの紙を剥がしながら椎名君は再び溜息を吐く。
『人殺し』
『出て行け』
『社会のゴミ』
『死ね』
『消えろ』
『害虫一家』
『人殺しが住んでいます』
あまりにも酷い誹謗中傷の文字。ねえ、なんで、なんで、なんで…
「……まあ、しゃーないわなあ。兄貴がした事は許されることやないから。そんなん、俺らが一番よお解っとるしな」
なんで、どうして椎名君が、