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あれから数週間。


「まーたサボってるの?」
「…うっといなホンマ」
「わあ、それは初めて言われたよ」

僕は、椎名君をこれでもかと言う程つけ回している。彼はそんな僕にうんざりとしているみたいだけど、全く気にしていない。

結構イイ神経をしているのかもしれないな。

「僕もサボろっと」
「優等生が何やっとんねん…」

怪訝そうな顔で僕を一瞥し、椎名君はふいと顔を背けた。うーん、解り易い。

椎名君は予想通りに一匹狼だった。

それは入学した時からのようだけど、その頃の椎名君の事はよく知らないし、…というより誰にも興味が無かったからね、僕。

そして、椎名君の名前をよく聞くようになったのは去年。ある事件が切欠だった。


“殺人事件”


こんな小さな町で、こんな大事件が起こるなんて、誰も予想していなかっただろう。


更にその事件の加害者が

同級生のお兄さん


この事が明るみに出た時、椎名君は嫌がらせを受けるようになっていた。

元々喧嘩っ早く、事件が起こる前から色々と問題を起して来ていたらしいのだけど。

売られた喧嘩は買う。それが多勢無勢だったとしても、変わらないモットーらしい。