いくら考えても無理だと悟った僕は、当たり障りの無い会話をしてから席を立った。

こんな時は逃げるのが一番。

「ちょっと職員室に行って来るね」
「えぇ~?もっと喋ろぉーよ」

奪われていた本をそっと抜き取り、女の子に向かって優しく微笑んだ。


「また、後でね?」

大抵の女の子はこれで片がつく。て、僕ってば黒いなあ。まあ自覚してるからいっか。


そう、僕の唯一の難点

それは人に興味が無い事


勿論、拒絶をしたりするわけじゃない。でも線は引いている。沢山の友人に囲まれているけれど、親友と呼べる相手は居ない。作ろうとも思わない。


この世界に馴染めない

馴染もうとも思わないから

馴染んでいるフリをする


――僕は、冷めた人間だ




「あっ、恵くん!」

扉に指をかけた所で、さっきの女の子に呼び止められた。まだ、何かあるのだろうか?

「何かつまんないって言ってたけどぉ、そぉでもないかも。だってこのクラスには…」

唐突に、

前方から感じた威圧感と衝撃に