間の話・1『出逢い・楓と瑠璃』

「そこの君!」

『篠宮学術研究都市』編入初日、 少年‐三田村楓は少女に指をつきつけられていた。

人通りが多い廊下で、行き交う人々が何事かと二人を見る。

楓に指を着きつけているのは篠宮瑠璃、楓が今日から通う事になった『篠宮学術研究都市』の理事長代理を努める少女である。

「あの…何ですか?」

“ビクビク”しながら問う楓。

「理事長代理なんかをやってる少女が自分に何の用だろうか?」
等と考える楓。

でもってその疑問の答えが出るのは直ぐであった。

「魔法を使ってみたくは無いかい?」

「はいっ?」

目を円くして瑠璃に尋ねる楓、それはそうだろういきなり「魔法を使ってみたくは無いか?」等言われたら誰だって驚くであろう。
「あの…僕、」

「自分の思った事を言ってくれたら良いよー」

ニコニコしてそう宣う瑠璃。

『興味も使ってみたくも無い』と言いいたい楓…だがしかし相手は世界経済の九割を牛耳る篠宮財閥の令嬢である。

下手に断わったら、楓みたいな人間一人など簡単に抹殺されかねない。

そんなわけで瑠璃に声をかけられた時点で楓は「Yes」と言う以外の道は残されてな