「ごめんっ…でも、ムリなんだ…」



野沢君は黙って私を見てる




「ダメなんだ…野沢君とは……できないっ…」

「何で?」



そう尋ねた野沢君の声は優しかった





私は黙って首を横に振る









「桜庭さん…他に好きな人がいるんでしょ」







私は顔も上げずに、黙って頷いた








「知ってたよ、俺…それが誰なのかも……」

「そっ…れは…さっきの見てた…からっ?」

泣いているせいでちゃんと喋れなかったが、それでも私は尋ねてみた








「違うよ…」

野沢君が静かに呟いた