先輩たちは夏休みの計画を話しあっている間も、咲夜さんのことで頭が一杯だった。


「綾乃?!ちゃんと聞いてる?!」


なんて、こずえさんから言われちゃったり。


会話なんてうわの空だった。



今日はレミさんがいない分悲しい思いがよみがえることはないけれど、いないからこそキスのことで頭が一杯になってしまい、まともに顔を見ることができない。





「じゃ、大体話もまとまったし、そろそろ帰るわ。俺、明日の授業サボれないし」



時計を見ながら席を立とうとする大輔さん。


「あんたが授業の心配するなんて珍しいじゃない」


いつもは朝まで飲んでるのにね。と、少し早めの帰宅に不満そうにするも、大輔さんの言葉で咲夜さんも帰ると言い出したので自然と今日の飲み会はお開きになった。


「じゃ、あたしたちも帰りますよ」


たまには早めに家帰ります。と、ジョッキをシンクに運び、先輩たちとこずえさんの店を後にした。