じゃああたしは仕事があるからごゆっくりとカウンターに戻って行った。
「なぁ~んか愛美に赤提灯ってウケるんだけど~」
今時の、新しいもの好きの愛美とのギャップがあまりにも可笑しくてププッと笑った。
「チェーン店よりもねぇ、こういうほうがアットホームでいいんだよ。こずえさんちでもあるし・・・ってか、綾乃、やっと笑ってくれたね」
えっ。と思ったけれど、返答する余地も無く愛美は私のグラスと自分のグラスでカチンと音を立てるとそれを流し込んだ。
私、そんなに笑ってなかった・・・?
自分では気づかなかった。
でも、確かに重たかった自分の気持ちが少し楽になったような気がしていた。
この店の提灯のごとく、ほんわかしたあったかいものが再び私の心にも灯ったような気がした。