「ですね。ほかの桜よりも綺麗です。」


私の言葉を聞くと、ニヤッと口元を緩めた。


「じゃ、準備するから手伝って?」


「はい。」


私と愛美は声を揃えて返事をすると、ブルーシート敷きを手伝った。


すると次第に、サークルのメンバーらしき人たちが集まってきた。


「大輔、新入生にやらせるのはひどくない?」


「お前らが来るの遅いからだろ。」


あとから来た数人も大輔さんほどではないが、お酒をぶら下げてやってきた。


私たちがやるからと、準備をかわると何もすることがなくなってしまって、ただその場に立っているだけになってしまった。


その間にもぞろぞろと集まり始めたが、挨拶したり、わいわい話始めているところを見ると、集まっているのは上級生なのだろう。


「なんかめっちゃきまずくね?」

愛美が小声で私に言ってきた。

だねと目で返事をし、再び桜の木を見上げた。


桜の木を見上げること以外にすることがなかった。