窓を開けると風に乗って礒の香りが漂ってきた。



もう海は近い。



太陽もずいぶんと高いところまで昇ってきている。



「朝っからこうやってお酒飲んでさ、海行けてさ。あたしたち今、最高の贅沢してない?」


不意に愛美が口を開いた。


確かに。


学生の間は当たり前に1ヶ月ちょっと夏休みがあって、休日も平日も関係なく好きなこと出来るけど、大学を出たあとはこんなに長期で休暇があることなんてないだろう。



4年後の夏はもう社会人。



そう思うと、へこんでばかりで無駄には出来ないなと思えた。



咲夜さんとゆっくり話せなくっても、サークルでの思い出はちゃんと残しておかなくては。


「そうだよね。この3日間、思いっきり楽しもうね!!」



そう、気持ちを切り替えた。