だんだんと日が長くなってきたが、18時を超えるとほとんどの車がヘッドライトを灯し出す。


「そろそろ向かうか?ここにいるのも飽きてきたし。」


携帯で時間を確認すると、愛美がトレーを持ち、席を立った。



一度お互いの家に戻り、着替えた後、私たちは大学の近くにあるハンバーガーショップで軽く腹ごしらえをして時間を潰していた。


私も荷物をまとめて、愛美の後に続く。



「ちょっと早いかなぁ」


昼間に手渡された紙を見ると、今日お花見をするという場所も大学から近かったため、意外と早く着いてしまいそうだ。



学校に近づくにつれて増えてくる桜の木。



昼間と同じように花びらを落としているはずなのに、それがひどく幻想的に見えてしまうのは、気のせいなのだろうか。


「ねぇ、愛美。なんかさ、昼よりも夜の桜のほうが綺麗に見えちゃうんだけど、気のせいなのかな。」


気がつくと愛美に尋ねている自分がいた。


「綾乃、テンション上がってんじゃん?この雰囲気に騙されて、お持ち帰りされないようにね。」


その声色からは、人のことを言えないほどこれからのことを楽しみにしているんだろうと思えたが、口にすることはやめた。