次の砂丘を越えればきっとオアシスがある

きっと僕はそんな期待ばかりして歩き続けていたのだろう

昔も…今も

世界がこんなになってしまう前も
そして今も

でもこんな世界でもすぐそばにあいつが居てくれる

案外悪くはないものだ



あいつとは
幼馴染だ…

進学校に通っていた標準的な頭脳をもった
ごく当たり前の高校生だった僕は

なんとなく世の中に疲れていた。


あいつと同じ学校だったこともあるし

あいつはいつも同じ言葉で
命令じみたことを僕に言う

彼女面して付きまとい

なんでも僕を思い通りに振り回す

そんなあいつが面倒だった

でも

本当の感情はそんなところになかったと気付いたのは
あのときからだ…

世界崩壊のあの日
あいつは頭部を強打して

決定的な医療処置も受けれず
命はもうないものかと僕は諦めた

でもあいつは
僕のもとに戻ってきてくれた

それまでの記憶というとても大切なものを
どこかの宇宙に永遠に置き去りにしたまま。