卒業してしまえば、もうきっと会うことなんてない。


だったら気持ちを伝えてさよならする方がいい。


くたびれるほど長い卒業式も、クラスメイトとの別れも、全部が思い出に変わってく。


だから思い残しのないように、あなたと出会った屋上で告白したいんだ。


あなたの好きだと言った紫の空の下で。


屋上に上がると、空はオレンジから紫に変わり始めていた。


先生は相変わらず、タバコを吸いながら空を眺めてる。


風に髪が靡く。


寂しそうな横顔。


あなたは何を見ているの?


ドアの閉まる音で、先生は私の方を見た。


「まだ残ってたのか?」


「忘れ物があって」


私の言葉に先生は笑った。


「今日で最後なんだから、ちゃんと全部持ち帰れよ?」


―――ズキン…


胸の奥で音がした。


最後だってわかってるよ。


でも先生に言われると寂しい。