「昨日は…ごめん。」

旧校舎の音楽室で、若王子さんは開口一番そう言った。

私は努めて冷静に答える。

「気にしてませんから…。だって、私が若王子先輩の彼女じゃないのは事実でしょ?」

「あれは…!間違いだよ。奈緒は俺の彼女だ。」

「…そんな都合のいいこと、あるわけないじゃないですか。」