言われなくてもわかっていることを指摘され、太郎の心は少しだけイラついた。
“私としては5をあげたいのですが、どうしても、4.9999999…という結果なので、4とさして頂きました”
太郎は、再びプリントをぐしゃぐしゃに丸めた。
そして、今度はそれを屋上から空に向かって大きく投げた。
が、紙ごときが重力に逆らえるわけもなく、こんな時でさえ、神様は意地が悪い。
「うわぁーー!!
なんでだ!!
なんでなんだぁーーーっ!!」
頭を抱え込み、雲一つない空に向かい大きく叫ぶ。
悠長に空を飛んでいたカラスが、太郎の声にびっくりし、
Uターンして来た道を戻っていった。
髪をわしゃわしゃと荒らしても、太郎の気持ちは晴れない。