太郎が目を覚ますと、目の前にはまぶたが腫れ、見るも無惨な次郎の顔があった。
『だがら、いっだんだ…。ダメだっで、いっだのに……』
打ち所が悪かったら、死んでいたかもしれない。
今回事故で被害を受けた場所は、急所のすぐ隣だった。
目を覚ますなり医者にそんなことを言われ、太郎は、今更ながらに自分の不運さを呪った。
100でもなければ、
50でもなく。
70、80、90、どれにも当てはまらない。
それが、佐藤太郎という人間なのである。
太郎は、先ほど丸めたプリントを開き、じっと眺めた。
“評価”の欄に書かれた、担任からの、長い文。
“惜しいです。非常に惜しいです。
もう全てを5にしてもいいくらいなんですが、いつも必ず、太郎くんは良いところで間違えてしまう”