小学5年生の時、テストで99点を取ったことがある。
友達は皆“99”という点数に目を奪われ『すごいすごい』と連呼していたが、
太郎だけはどうしても納得することができなかった。
それは、得ることのできなかった1点が、繰り上がりの計算を間違えたという、単純なミスだったからだ。
35+46=71
丁寧に三角マークの中に“-1”と書き込まれ、“99”の隣には
“惜しい!繰り上がりのミスに気をつけよう”というコメントとニコニコマーク。
先生の慰めは単なるお節介にしかすぎない。
と、太郎はふてくされた。
『そんなの見ればわかるっつーの、このお節介が!やかましいわ!』
心の中でそう叫び、それだけで満足できる太郎は幸せ者だ。