「翔平には私から言っときます……だから-…」

「あたしが直接言いたいんです!!」

サヨナラくらい
あたしにも言う
権利がある。


「……分かりました…」

あたしは
全力疾走で翔平の家の
玄関に飛び込んだ。

「な、なんだよ美優!?」

驚いた様子で
目をパチクリさせる
翔平に胸が痛んだ。

別れ話なんて
ホントはしたくない。

でも……
翔平はこれから輝く人生が待っている。

あたしが
翔平の輝く人生の
邪魔をする事もできない


「あの…ねっ、あたし達もう別れよう」

「………えっ?」

ビュオオ-…………

その瞬間
風が吹き荒れた


「美優………?」

驚いたと言うより
呆然とした様子の翔平。

「……他に好きな人ができたから別れてほしい」

そんなの嘘に決まってる
でも翔平の
マネ-ジャ-さんに
翔平に近づくなって
言われたなんて言える訳ない。

「……それ本気で言ってんの?」

「そ…そうだよっ!同じクラスの人でとっても
優しくてカッコイイの」

「分かった………」

そう小さく呟くと
若橋さんの所へ
走って行った。

「翔………」

情けない事に
翔平を引き止めようと
してしまった。

でも翔平は
チラッとこっちを見て
そのまま目を反らした。